大阪地方裁判所 昭和50年(わ)3010号 判決 1976年2月05日
一、本店所在地
大阪市生野区巽西三丁目一三番二七号
商号
フジビニシート株式会社
代表者氏名
片岡正一
二、本店所在地
大阪府東大阪市若江東町四丁目六番五九号
商号
キング商事株式会社
代表者氏名
片岡正一
三、本籍と住居
大阪府東大阪市中小阪三一八番地
職業
会社役員
氏名
片岡正一
生年月日
昭和三年九月七日生
右三名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤本徹出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人フジビニシート株式会社を罰金四〇〇万円に、
被告人キング商事株式会社を罰金一、三〇〇万円に、
被告人片岡正一を懲役八月に
それぞれ処する。
被告人片岡正一に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告法人フジビニシート株式会社は、大阪市生野区巽西三丁目一三番二七号に本店を置き、フイルムシートの製造販売業を営むもの、同キング商事株式会社(昭和四九年七月一七日以前は、キング化成工業株式会社)は、大阪府東大阪市若江東町四丁目六番五九号に本店を置き、塩化ビニール製品の成型加工業などを営むもの、被告人片岡正一は、右両会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人片岡正一は右両会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 被告法人フジビニシート株式会社の昭和四八年三月一日から昭和四九年二月二八日までの事業年度において、その所得金額が七四、三六五、八三七円で、これに対する法人税額が二六、九六一、〇〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上売上の一部を除外するとともに架空仕入れを計上するなどし、これによつて得た資金を架空名義の普通預金にするなどの行為により、右所得金額のうち四六、二五四、二七三円を秘匿したうえ、昭和四九年四月三〇日、大阪市生野区勝山北五丁目二二番一四号所在生野税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二八、一一一、五六四円で、これに対する法人税額が九、九六五、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税一六、九九五、二〇〇円を免れ、
第二、被告法人キング商事株式会社の昭和四八年七月二一日から昭和四九年七月二〇日までの事業年度において、その所得金額が九八三、三二〇、一二三円で、これに対する法人税額が三九〇、三六九、三〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上売上及びたな卸の一部を除外するなどし、これによつて得た資金を架空名義の普通預金にするなどの行為により、右所得金額のうち一六三、四一八、六二四円を秘匿したうえ、昭和四九年九月二〇日、大阪府東大阪市永和二丁目三番二三号所在東大阪税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八一九、九〇一、四九九円で、これに対する法人税額が三二五、〇〇二、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税六五、三六六、九〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
第一回公判調書中の検察官請求証拠目録に記載された請求番号欄の左記番号と同一であるから、これを引用する。
判示第一事実につき
1乃至6、28乃至35、54、65
判示第二事実につき
7乃至27、36乃至39、40乃至45、55乃至65
(法律の適用)
判示第一の所為は被告人フジビニシート株式会社につき法人税法一六四条一項、一五九条に該当するので、同条一項所定の罰金額の範囲内で同被告人を罰金四〇〇万円に処する。
判示第二の所為は被告人キング商事株式会社につき同法一六四条一項、一五九条に該当するので、同条二項による罰金額の範囲内で同被告人を罰金一、三〇〇万円に処する。
被告人片岡正一の判示両所為はいずれも同法一五九条に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、同被告人に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 青野平)